
リチャード・ローゼンが書き下ろしたエッセイを3回シリーズでお届けします。
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ヴァーユ・プラティヤーハーラ
快適な座法、または、仰向け姿勢になって、ヴァーユ・プラティヤーハーラを体験してみましょう。最初は、12のポイントに限定し、簡略的な練習から始めましょう。ポイントはあとから増やすことができます。
12のマルマポイント
左右の⾜の第⼀指
左右の⾜⾸
ふくらはぎの中央
膝
太ももの中央
会陰部
へそ
⼼臓の中⼼
⾸の⽳(頸静脈切痕)
眉間
額の中央
頭頂部
これらのポイントを⼿で触れて、意識を向けたり、それぞれのマルマで、親しみを抱いている神や師、マントラなどをイメージしてみるのもよいでしょう。これは、ニヤーサと呼ばれる意識を配置する伝統的なやり⽅です。
まず、⾜の第⼀指に意識を集中させ、そこで息を吸って息を吐いて、指が呼吸するのを想像します。
次に、足首に意識を集中させ、そこで息を吸って吐いて、足首が呼吸するのを想像します。 このように12のマルマの梯⼦を登り、頭頂部を⽬指します。
①各マルマでひと呼吸かふた呼吸してより早く駆け上がるか、時間と気持ちに余裕があれば
②もう少し呼吸を繰り返して留まりましょう。
①では、意識と呼吸を迅速かつ正確に移動させること
②では、意識と呼吸の集中を⻑時間、保つ能⼒が試されます。
ニヤーサの順序はさまざまです。瞑想に備える意識と呼吸のウォームアップとして簡易的に取り⼊れる、または、マルマの梯⼦を何度も上下しながら、単独の呼吸法、または、瞑想法として実践することもできます。
単独の呼吸法、または、瞑想法として行う場合は、最後にシャヴァーサナでプラクティスを終えましょう。頻度はあなた次第です。ヴァーユ・プラティヤーハーラが効果的だと感じるなら、頻度を増やしてみましょう。
慣れてきたら徐々にポイントを追加し、伝統的な18ポイント(スピリチュアルな世界で吉兆な数字)まで増やしていきます。⼿の第⼀指、頭蓋⾻の付け根、⽿など、伝統的なポイント以外の場所も試してみてください。
やってみようかどうか迷っているなら、ヤージナヴァルキヤの残した⾔葉 が役⽴つかもしれません。
ヴァーユ・プラティヤハーラは、あらゆる病を予防し、⾃⼰の解放をもたらすだけでなく、⻑寿へと導き「修⾏者は、⽉と星が存在する限り⽣きるだろう」と記されています(『ヨーガ・ヤージナヴァルキヤ・サンヒター』7.31)。
そこまで、私たちの社会保障制度が⾏き届くことを願って。
(END)


RICHARD ROSEN リチャード・ローゼン 1983年にサンフランシスコのアイアンガーヨガ研究所の指導者養成講座を修了し、1987年からヨガを教える。四半世紀間 ヨガジャーナル寄稿編集者であり、6冊の著書のうちプラーナーヤーマに関するものが2冊出版ある。2000年代初頭にパーキンソン病を発症するも、現在も「ステージ2」を維持しており、パーキンソン病患者からの相談に体験に基づくヨガとプラーナーヤーマの実践を推奨している。集中講座では、古典の叡智と、セラピー効果が期待できるプラーナーヤーマについて、実践と指導の側面から立体的に紹介する。