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Yoga Essay by Richard Rosen vol.1 プラティヤーハーラとは





リチャード・ローゼンが書き下ろしたエッセイを3回シリーズでお届けします。


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イヤフォンから流れる音、肌を撫でるカシミア、⾆の上でとろける焼きたてのパン。


感覚的な快楽に溢れる暮らしのなかで、プラティヤーハーラ(感覚の制御・制感)を実践すること は、難しくもあり、⼼地よくも感じられるもの。


プラティヤーハーラは、直訳すると「抑⽌する」という意味のサンスクリット語。プラティヤーハーラは、パタンジャリの『ヨーガスートラ』において、⼋⽀則の第五の柱として定義されていますが、⼀般的なヨガクラスでプラティヤーハーラについて教わることは、まずありません。



簡潔に言うならば、普段、外に向いている意識を、周囲の世界から切り離し、引っ込め、内なる⾃⼰へと⽅向転換させることです。その結果、視覚、聴覚、味覚など、普段は忠実な⽝のように意識の後ろをついて回っている 感覚は⾃ずと、外の世界から遠ざかっていきます。


雑念から切り離されるので、散漫になりが ちな意識の一点集中が促され、⼋⽀則の第六と第七の柱である瞑想(ダーラナーとディヤーナ)に備えることができるのです。


プラティヤーハーラは、伝統的に、⻲が、頭と⼿⾜を甲羅の中に引き込む様⼦に例えられますが、『ヨーガスートラ』について現存する最古の注釈書を記したヴィヤーサは、⼈間の感覚蜂の群れ意識⼥王蜂に⾒⽴てました。


「ミツバチが⼥王バチのあとを追うように、また、⼥王バチが休むとミツバチも休むように、マインドが静⽌すれば、感覚も活動を停⽌する。」


スワミ・ハリハランダ・アランヤ によるヴィヤーサの翻訳『The Philosophy of Patanjali』 p.243


Vol.2 ハタ・ヨーガにおけるプラティヤーハーラ へと続く。


著:リチャード・ローゼン




RICHARD ROSEN リチャード・ローゼン 1983年にサンフランシスコのアイアンガーヨガ研究所の指導者養成講座を修了し、1987年からヨガを教える。四半世紀間 ヨガジャーナル寄稿編集者であり、6冊の著書のうちプラーナーヤーマに関するものが2冊出版ある。2000年代初頭にパーキンソン病を発症するも、現在も「ステージ2」を維持しており、パーキンソン病患者からの相談に体験に基づくヨガとプラーナーヤーマの実践を推奨している。集中講座では、古典の叡智と、セラピー効果が期待できるプラーナーヤーマについて、実践と指導の側面から立体的に紹介する。

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